エレクトラ・コンプレックス
心理学における「エレクトラ・コンプレックス」とは?
エレクトラ・コンプレックスとは、女児が父親に性的な愛着を抱き、母親をライバル視する無意識の葛藤を指す概念です。
ユング心理学において提唱されたもので、ギリシャ神話のエレクトラの物語になぞらえて名付けられました。
エレクトラは、父アガメムノンが母クリュテムネストラによって殺害された後、兄オレステスと共に母と愛人を殺害したという復讐劇の主人公です。
ユングは、この神話に象徴されるような、女児が父親に強い愛情を抱き、母親を敵視する心理を普遍的な現象として捉え、エレクトラ・コンプレックスと名付けました。
エレクトラ・コンプレックスの経過
エレクトラ・コンプレックスは、女児の性欲発達に関連する重要な心理的段階であると考えられています。
具体的には、女児は乳幼児期に母親を主な養育者として過ごす中で、母親に強い愛情を抱くようになります。
しかし、3歳頃になると、女児は父親の存在を意識し始め、父親との親密な関係を築こうとするようになります。
この時、女児は母親をライバル視し、父親を独占したいという願望を抱くようになります。
しかし、同時に、母親への愛情や喪失感を感じ、母親から排除されるのではないかという不安を抱くようになります。
この葛藤を乗り越えることで、女児は母親と同一化し、女性としてのアイデンティティを確立していくと考えられています。
エレクトラ・コンプレックスとその後
エレクトラ・コンプレックスは、女児の性欲発達において重要な役割を果たしますが、正常に経過すれば、思春期までに解消されると考えられています。
しかし、何らかの理由でエレクトラ・コンプレックスがうまく解消されない場合、さまざまな心理的な問題が生じる可能性があります。
例えば、男性への不信感、女性としてのアイデンティティの確立の困難、同性愛傾向などが挙げられます。
エレクトラ・コンプレックスとエディプス・コンプレックス
エレクトラ・コンプレックスは、男児のエディプス・コンプレックスと対比される概念です。
エディプス・コンプレックスでは、男児が母親に性的な愛着を抱き、父親をライバル視するのに対し、エレクトラ・コンプレックスでは、女児が父親に性的な愛着を抱き、母親をライバル視します。
しかし、両者とも、幼児期における性欲発達に関連する重要な心理的段階であるという点では共通しています。
参考URL
エレクトラコンプレックス - Wikipedia
エレクトラコンプレックスとは?特徴・克服方法を解説【精神科医監修】
https://osakachild.com/electra-complex/
エレクトラ・コンプレックス - 心理学用語集サイコタム
https://psychoterm.jp/clinical/theory/complex
補足
エレクトラ・コンプレックスは、エディプス・コンプレックスと同様に、複雑な心理現象であり、様々な解釈が可能です。
ここでは、ユングの古典的な見解を中心に説明しましたが、現代の心理学では、より多角的な視点からエレ