同情回路
心理学における「同情回路」:他者の痛みや苦しみを理解する脳の仕組み
同情回路は、脳内に存在する神経細胞ネットワークであり、他者の痛みや苦しみを理解し、共感する役割を果たすと考えられています。
発見と研究
同情回路は、1990年代にイタリアの神経科学者であるジャコモ・リゾラッティ氏らの研究によって発見されました。リゾラッティ氏らは、サル脳を調べた際に、サルが自分自身が餌を掴む動作を行う際に活性化するのと同じニューロンが、サルが別のサルが餌を掴む動作を観察した際に活性化することを発見しました。
この発見から、サルは他者の行動を理解し、共感する能力を持っていることが示唆されました。その後、ヒトの脳でも同様のニューロンが発見され、同情回路と呼ばれるようになりました。
同情回路の役割
同情回路は、以下の役割を果たすと考えられています。
他者の痛みや苦しみの理解: 同情回路は、他者の表情や声、動作などを観察することで、その人が痛みや苦しみを感じていることを理解するのに役立つと考えられています。
共感: 同情回路は、他者の痛みや苦しみを共感するのに役立つと考えられています。共感は、人と人との絆を深め、社会的な協力を促進するのに重要と考えられています。
道徳的な判断: 同情回路は、道徳的な判断を行うのに役立つと考えられています。例えば、同情回路が活性化されると、人を助けるような行動を取ることが多くなります。
同情回路とミラーニューロン
同情回路は、ミラーニューロンと呼ばれる神経細胞と密接に関係していると考えられています。ミラーニューロンは、他者の行動を観察した際に、まるで自分がその行動を行っているかのように活性化する神経細胞です。
ミラーニューロンは、他者の行動を理解するのに役立つだけでなく、共感や学習にも関与する可能性があると考えられています。
同情回路の研究の重要性
同情回路の研究は、人間の社会性や共感能力の理解に役立つだけでなく、自閉症や統合失調症などの精神疾患の治療にも役立つ可能性があります。
参考URL
共感脳:ミラーニューロンの発見と人間本性理解の転換 | ラーンフォレスト合同会社
https://learn-forest.com/archives/empathic-brain.html
ミラーニューロンによる自己と他者の表現 - researchmap
https://researchmap.jp/viola_body/misc/24647189/attachment_file.pdf
脳科学辞典 - ミラーニューロン
動作の自他共有表現を越えるミラーニューロン――予測のメカニズム
https://psych.or.jp/wp-content/uploads/old/75-13-16.pdf
補足
同情回路は、脳科学における重要な発見であり、人間の社会性や共感能力の理解に大きな貢献をしています。今後も、同情回路に関する研究は進められていくことが期待されています。